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過去のコラム
A Touch of Spice
 8
11/15/05
 
ストーリー
ギリシャとトルコの間で翻弄された古都コンスタンチノープル(イスタンブール)の複雑な歴史を背景に、故郷を追われたギリシャ人一家を巡る物語を描き本国ギリシャで「タイタニック」に次ぐ歴代2位の興行記録を打ち立てたヒューマン・ドラマ。少年と祖父の心温まる交流を軸に、移民としての生活を余儀なくされた主人公の故郷への哀切の想いとユーモアを織り交ぜノスタルジックに綴る。

2003 年のギリシャ・アテネ。ヴァシリスおじいちゃんがイスタンブールからやってくるとの突然の報せに、彼を迎える準備を進めるファニス。祖父とは7歳で別れて以来、40 歳になるこの年まで一度も会うことができなかった。ところが当日になって祖父が重い病で倒れたとの連絡が入る。ファニスの心は、祖父と過ごした懐かしい日々へと飛ぶ…。1959 年、少年のファニスはトルコのイスタンブールでスパイス店を営む祖父の家で暖かい家族と幸せな毎日を過ごしていた。ファニスは豊富な知識持つ祖父からスパイスの様々な効能と人生のすべてを学んでいった。

レビュー

久しぶりに、心温まる超感動作に出逢いました!よく出来た「物語」だな〜と思っていたら、「この映画は、そのほとんどが彼自身の人生に起った事実に基づいており、愛情を傾けて作られた作品である。」との事です。監督/脚本のタソス・ブルメティスは、1957 年、コンスタンチノープル(イスタンブール)生まれ。1964 年に国外退去命令によって家族と共にギリシャに移住し、オナシス財団より奨学金を得てアテネ大学で物理学を、カリフォルニア大学(UCLA )で映画製作を学びました。

「30 年後、イスタンブールに旅行して、家族で住んでいた家や父の店、祖父が経営していた雑貨店を訪ねました。通っていた小学校では、当時私に教えてくれていたエミリア先生がドアを開けてくれました。30 年ぶりの再会です。彼女と同様に、私の二人の祖父もこの土地から離れなかった。共にイスタンブールで生まれ、イスタンブールで亡くなったんです」と監督本人は語っています。

トルコからギリシャに移住した彼らは、トルコではギリシャ人として扱われたにも関わらず、ギリシャではトルコ人として扱われました。さらに監督はこう続けます。「私の映画に鬱積する怒りはギリシャ人に注意を向けるものであり、私の“敵”に対するものではありません。『タッチ・オブ・スパイス』は、イスタンブールから、必ずしも味方とは言い切れない国――ギリシャへやってきた、一人の男の人生の物語なのです」と。この映画には 1951 年に始まったキプロス紛争が大きな背景にあります。そしてギリシャとトルコの対立は宗教の対立でもあります。ギリシャ正教(ギリシャ正教の教えは三身一体、父なる神と子、聖霊は全て同一の神であるとする)と、イスラム教(『イスラム』とは、アラビア語で「平和であること、唯一の神であるアッラーに絶対におすがりすること」を意味する)。しかし本来ギリシャ正教は、イスラームや仏教にも共通した考え方のはずなのですが、、、つまり、人間が自らを超え出て神や仏と一つになっていくという考え方を持っており、ヨーロッパの宗教に還元しきることのできない「ユーラシア宗教」としての奥行きを有している、と聞きます。我々人間にとって違った考え方を持つ相手を尊重し、否定する事なく「受け入れる」ことは、そこまで難しい事なのですね。

とにかく、生きる事の基本は「食べる事」!少年ファニスが作る料理の美味しそうなこと!スパイス店を経営するおじいさんから教わった数々の大切なことが、ファニスの将来に大きく影響しています。多くの台詞が料理に例えられ、とても洒落っ気たっぷりの台詞が心に響きます。それらのいくつか、私が心に残ったものを紹介します。
「料理の味を決めるスパイスが目に見えないように、大切なものはいつも目に見えない。」
(見えていても、実際にはもう存在しない星の残光。見えないけど確実に存在している料理の中の塩。)
「旅人には2種類ある。出発する前に地図を見る者と、鏡を見る者。地図を見た者は旅を続け、鏡を見た者は家へと帰って来る。」
「ガストロノモス(美食家)の中にアストロノモス(天文学者)が潜む」
天文学/哲学の国、ギリシャにぴったりの素敵なシャレですね。

三村 奈々恵

 
映画情報
 

データ

原題:

公開日:
製作年:
製作国:
ジャンル:

A Touch of Spice

2005/02/05
2003
ギリシャ
ドラマ

 

キャスト&スタッフ

監督:
脚本:
撮影:
出演:

Tassos Boulmetis
Tassos Boulmetis
Takis Zervoulakos
George Corraface ( ファニス )
Tassos Bandis ( 祖父ヴァシリス )
Markos Osse ( ファニス /少年時代 )
Basak Koklukaya ( サイメ )
Ieroklis Michaelidis ( サヴァス )
Renia Louizidou ( ソルタナ )

 

 
三村奈々恵のプロフィール
三村奈々恵
マリンビスト・三村奈々恵は、クラシック音楽の殿堂
「カーネギーホール」でデビューした途轍もない才能を持つ、
現在最も注目される大型アーティストの一人。

1997年、国立音楽大学を首席で卒業し、武岡賞受賞。
その後米国ボストンに渡り、ボストン音楽院で修士号を取得する。学生時代より国際コンクールで優勝を重ね、その卓越したテクニックと詩情豊かで ダイナミックなサウンドが評価され、史上3人目の「アロージ賞」を受賞。26歳の若さでバークリー音楽院講師を4年間務めた。現在東京在住。

趣味: 音楽鑑賞、映画鑑賞、読書、旅行、テニス
好きなもの: 音楽、芸術、文化、自然、子供、動物、
                            スペイン&中米のアート、イスラム建築

三村奈々恵 live image+
プロフィール:
日本語PDFファイル (165KB)
英語PDFファイル (125KB)

オフィシャルサイト:
www.nanaemimura.com

ブログサイト:
http://nanaelog.com

“マイ・マレット”サイト:(笑)
www.encoremallets.com
 「“live image+ -010531-” より」
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