1950年代初頭。スウェーデンで『独身男性の台所行動パターン(動線)調査』が始まり、調査員のフォルケはノルウェーの田舎町にやってきた。しかし、調査対象の老人イザックは台所を使おうとしない。一方、調査員は調査される男性と交流してはならない規則のため、フォルケは黙ってイザックを観察する。被験者とは会話禁止、被験者の家の台所以外は立ち入り禁止。気まずい日々が過ぎたある日、フォルケとイザックはふとしたきっかけで会話を始めた。次第に心を通わせていく2人だが、やがて、規則違反がフォルケの上司に知られてしまう…。
この映画は、1950年代のスウェーデンの家庭研究所が始めた人間の動線調査を背景にした、素朴でユニークなコメディ作品。北欧の隣国でありながら、まったく別の国民性を持つスウェーデンとノルウェーの男たちが、家の中の最も似つかわしくない場所、台所で交流していく。
調査員に気を許さず、寝室で隠れて料理する偏屈老人イザックも、生真面目で黙々と観察を続けるフォルケも、本当は温かくて優しい性格で、それは禁じられた「会話」を通じて明らかになっていく。人の心は、話をしなければ分かり合えない。そんな当たり前の人間関係を、北欧のゆったりとした生活が改めて教えてくれる。
映画を探していた時、「そう言えば北欧の映画は見た事ないな〜。。。」と思い、たまたま出逢ったのが、このノルウェー/スウェーデン映画の「キッチン・ストーリー」。何の予備知識もなく見始めた私。「台所の動線」なんていうおかしな調査を、いい大人が、しかも紳士が、真剣そのものでやっている姿は、、、なんて滑稽なんでしょう!しかも、実際にこういった調査が50年代にされていた、というのだからびっくりです!
物語がどう展開していくのか、さっぱり分からないまま、ストーリーは淡々と進んでいきます。本物の「馬」がもらえると思って、調査に協力しようと応募したイザック。最初は、家の中に閉じこもり、調査を拒否していたのですが、仕方なく調査員フォルケを台所に入れて、、、そこから、しばらくは規則上「会話禁止」なので、映画にも台詞が全くなく、沈黙のなかで、2人の探り合い、緊張感が手に取るように分かって面白かったです。ぎこちない2人の姿は非常に「人間」だな〜って感じです。
そして、一杯のコーヒーがきっかけとなって、あとはもう心許すままに会話をし、どんどん打ち解け合っていく2人。やっぱり人と人はコミュニケーション!会話をしなくちゃ!監督は、このご時世、都会では隣人が誰かも知らず、知らない人と言葉を交わす事がない、寂しい現状だ、と言っています。ノルウェーの片田舎で起こったこのおかしな出来事、、、監督は今の都会の人間関係を表現しているようです。確かに本当に都会の人々って、目を合わすこともしないし、笑って挨拶なんて絶対しないな〜。。。寂しいです。。。
映画の最後では、こんなメッセージが隠れているんじゃないか、と思いました。「ひとは大きな流れの一部でいると、(長いものに巻かれていると)安心する。先ずはそこでコミュニケーションをとればいい。でも、その次は、、、勇気を持って、大きなものに立ち向かい、長いものを断ち切ることで、本当の幸せ、本当に大切なものへと導かれることがあるだろう。」
この映画を観て初めて、スウェーデンとノルウェーが互いにバカにし合っている、競争心を持っていることを知りました。ノルウェーという国、1905年までは、スウェーデンだったんですね。2国間の文化の違い、バックグランドが分かるともっともっと、この映画を楽しめると思いました。
非常にポカポカしてて、の〜〜んびりとしてて、心温まる作品です。
三村 奈々恵
データ
公開日: 製作年: 製作国: ジャンル: 公式サイト:
2004年5月22日 2003年 ノルウェー/スウェーデン ドラマ/コメディ
キャスト&スタッフ
監督: 製作: 脚本: 撮影: 音楽: 出演:
ベント・ハーメル ベント・ハーメル ヨルゲン・ベリマルク ベント・ハーメル ヨルゲン・ベリマルク フィリップ・オガールド ハンス・マティーセン ヨアキム・カルメイヤー:イザック トーマス・ノールシュトローム:フォルケ ビョルン・フロベリー:グラント
1997年、国立音楽大学を首席で卒業し、武岡賞受賞。 その後米国ボストンに渡り、ボストン音楽院で修士号を取得する。学生時代より国際コンクールで優勝を重ね、その卓越したテクニックと詩情豊かで ダイナミックなサウンドが評価され、史上3人目の「アロージ賞」を受賞。26歳の若さでバークリー音楽院講師を4年間務めた。現在東京在住。 趣味: 音楽鑑賞、映画鑑賞、読書、旅行、テニス 好きなもの: 音楽、芸術、文化、自然、子供、動物、 スペイン&中米のアート、イスラム建築