1945年8月。疎開した皇后や皇太子らとも離れ、地下の待避壕か唯一残った研究所での生活を送る天皇。敗戦が決定的となる中、御前会議では陸軍大臣が本土決戦の用意あり、と息巻く。それに対して国民に平和を、と願う天皇は降伏を示唆する。空襲の悪夢にうなされ、皇后と皇太子の写真を優しく見つめる天皇。やがて、連合国占領軍総司令官ダグラス・マッカーサーとの会見の日がやってくる…。
ロシアを代表する映像作家アレクサンドル・ソクーロフ監督が歴史上の人物を描く全4部作のうち、ヒトラーの「モレク神」、レーニンの「Telets」に続く第3作目。今回は昭和天皇ヒロヒトに焦点を当て、敗戦直前からマッカーサーとの会見を経て人間宣言を決断するまでを描き、綿密な考証と想像力を駆使して天皇ヒロヒトのひとりの人間としての孤独と苦悩を見つめる。主演はイッセー尾形、共演に桃井かおり。
ベルリンを始め各国の映画祭で上映され絶賛の声が上がるも、日本での公開は不可能と言われた"人間として昭和天皇"を描く衝撃作!多くのタブーを乗り越え奇跡の全国劇場公開を実現。最終的には100館を超える超拡大ロードショーとなった。
この映画を見終わって、というか、見始めてすぐの感想は、、、「何だ!これ?!?!」でした。私は生前の昭和天皇の記憶はほとんどなく、また、昔テレビで毎日、輸血される天皇のニュースが流れ、その後の「大喪の礼」を中継で観て、正直言って、、、なんでここまで人々が嘆き悲しむのだろう?と思ってしまったほど。つまり私にとっては、最初から昭和天皇は「人間」であり、「神」ではなかったのです。でも、確かに、昭和天皇、裕仁が日本国民にとって「神」であったのだと、知りました。そして、日本国外の人たちには、「独裁者」としてみられていたことも知りました。日本人の精神は、1945年を境に、本当に大きく変わってしまったんだな〜。。。
昭和天皇はまさに激動の時代の天皇であり、ひとりの人間として、苦悩と孤独のなかに耐え、その87年の生涯を1989年、終えました。
映画のなかで、重圧に苦しみながらも、生物学者として海洋生物の研究をして喜ぶ姿や、写真撮影を依頼され、アメリカ人兵士たちに「チャップリンに似ている」とからかわれながらも、愛嬌を振りまいたり、マッカーサーとの食事の席で、子供っぽく振る舞ってみたり、、、本当に純粋な「人間」として描かれている姿には、衝撃を受けました。ただ、この映画で描かれているエピソードがすべて真実かどうか、どこまで着色されているのかどうかは分かりませんが、、、監督も、どうやってここまでの情報を得たのでしょうか?不思議です。
とにかく、昭和天皇を演じた、イッセー尾形さんが凄い!名演技です!昭和天皇の話し方、癖や独特な仕草を見事に表現し、人間味あふれる昭和天皇を演じています。監督は、「ロストロポーヴィチ〜人生の祭典〜」をとった、アレクサンドル・ソクーロフ。ソクーロフ監督の素晴らしい演出だな〜と思ったのは、夢の場面で、空襲と戦闘機を「魚」で表現しているシーン。芸術性を高めています。
しかし、日本国にとっての「天皇」とは、改めて不思議な存在だな〜と感じました。自然発生的に生まれ、築き上げられた国家を持つ「日本」だからこその存在だな〜、と漠然と感じました。そもそも「天皇」とは、祭祀を行う、シャーマン的な存在。その背景には、八百万の神などの、「アニミズム」が根源にあるんだろうな〜。私は、恥ずかしながら、そういった日本の背景を知らずに、また、何の宗教にも接することもなく生きてきましたが、でも今、私は、、、心から自然に感謝し、自然を尊敬し、アニミズム的な考えを持っています。それは私が日本に生まれ育ったからなのかな〜?日本人ならではの、最終的に行き着くところなのかな〜?世界中、いろんな国を訪れ、米国に8年間住んだ経験があっても、やはりここに帰ってきているし、、、でも、アボリジニーや、イヌイット、アメリカのネイティブ(ホピ族など)も、そういった考え方だし、、、ん〜。。。
三村 奈々恵
データ
公開日: 製作年: 製作国: ジャンル: 公式サイト:
2006年08月05日 2005年 ロシア/イタリア/フランス/スイス ドラマ http://www.ocean-films.com/lesoleil/
キャスト&スタッフ
監督: 製作: 脚本: 出演:
アレクサンドル・ソクーロフ イゴール・カレノフ アンドレイ・シグレ マルコ・ミュレール ユーリー・アラボフ イッセー尾形 : 昭和天皇 ロバート・ドーソン : マッカーサー将軍 佐野史郎 : 侍従長 桃井かおり : 香淳皇后
1997年、国立音楽大学を首席で卒業し、武岡賞受賞。 その後米国ボストンに渡り、ボストン音楽院で修士号を取得する。学生時代より国際コンクールで優勝を重ね、その卓越したテクニックと詩情豊かで ダイナミックなサウンドが評価され、史上3人目の「アロージ賞」を受賞。26歳の若さでバークリー音楽院講師を4年間務めた。現在東京在住。 趣味: 音楽鑑賞、映画鑑賞、読書、旅行、テニス 好きなもの: 音楽、芸術、文化、自然、子供、動物、 スペイン&中米のアート、イスラム建築